会場には、プリクラッシュ ブレーキ体験 と併せ、簡単なスラロームコースでも、1.6 と 2.0 を乗り比べることができた。
不思議なことに、どんなに注意深く観察しても、こういうコースでは 1.6 と 2.0 の違いを感じ取ることはできなかった。
高速での試乗でもそうだったが、 0 - 1000m など、全開での長い距離での追い越し加速 では明らかな差が出るだろうが、FB16直噴ターボエンジンは、普段使いからちょっとテンポよく ワインディング を走らせるシチュエーションで、必ず スバリスト なら納得できる、素晴らしいエンジンだ。 | |
| もし、BE / BH型、BL / BP型レガシィ からの代替を考えている人なら、取り回しは特に違和感なくすぐに馴染めるはずだ。
例によって、前後左右、斜め前後方の見切りは、Gj / GP型インプレッサ で Aピラー を 20cm 前に出したのが効いていて非常に良好だ。フロントウィンドウの面積が大きくなったことで、明るく、体感的に広く感じられる。
ただ、BM / BR型レガシィ のように、前後左右に 「だだっ広く」 はないから、そういう意味でも、この適度なタイト感は、多くの スバリスト が好感を持つと思う。 |
駆け足のつもりが、7ページにもなってしまったが、結論は、レヴォーグ は、ワゴン や セダン といったカテゴリーに分けて考える必要性をまったく感じさせない、オールマイティで、あらゆる天候、気象条件で。安心して愉しく快適に走れるクルマであるということだ。
ライバルと呼べるクルマは、輸入車も含めてないことはないが、その多くは 2WD であり、仮に AWD の設定があったとしても、その性能と完成度で スバル の シンメトリカルAWD には遠く及ばないし、その多くは レヴォーグ とは全然価格帯が違う。
第一、ファーストカーとして使うクルマが、まだ 「ぶつかるクルマ」 では、もうお話にならないだろう。
さらに、ヨーロッパ車 では ハイオクガソリン仕様 しか選べないのも難点だ。中東情勢は依然として不安定なままだから、ガソリン価格がこの先下落するとは考えられない。実用燃費は、FA20直噴ターボエンジンが 郊外走行モード で 12km/L は固いから、15q/L、あるいはそれ以上が見込めるはずである。
しかも レギュラーガソリン で、である。
機能がさらに充実した 世界一の予防安全システム EyeSight Ver.3 も付いて、しかも スバル ならではの走りは、他のメーカーのハイブリッド なんかより、どう少なく見積もっても 100倍 は楽しい。
悩みどころは、8月 に出てくる WRX STI、WRX S4 とどちらが良いか?ということかもしれない。
WRX STI は、EJ20ターボエンジン 搭載車の、おそらくラストモデルになるだろう。アメリカ仕様では、ステアリングマウントブッシュの硬度が従来比で 400% も固められたそうだ。アジリティ と レスポンス が大幅に高められたシャシーと EJ20 という組み合わせを、マニュアルトランスミッション で操る、という趣向は、スバリスト なら 乗る前からヨダレが出そうなほど楽しいことは分かり切っているし、WRX S4 は、FA20型直噴ターボエンジン + EyeSight Ver.3 搭載で、BE型レガシィB4 RSK、BL型レガシィB4 2.0GT のオーナーならきっと気になることだろう。
いずれにしても、FB16型直噴ターボエンジン は搭載されないので、圧倒的な動力性能を求めるのでなければ、レヴォーグ 1.6GT / GT-S EyeSight は、多くの人にとって、魅力的な選択肢と映るに違いない。C から D セグメント の ステーションワゴン で、ドライビングを積極的に楽しむ人には、現在のところ、レヴォーグ 以上のベストな選択肢はないと思う。 |
レヴォーグ のカタログの、最初の見開きの大判カットには、「理想を継ぐもの。」 という タイトル が添えられている。
1989年1月24日、まだクルマはなかったが、あずき色のビニールコーティングの施された厚手の表紙の立派な装丁の カタログ を手にした時、私はどう思ったかはもう思い出せないが、その 「理想」 は今も私の許にあり、多くの記憶とともに私の人生を彩っている。
現在、多くのクルマが語るのは、「未来」 だ。そしてその 「未来」 は、案外つまらないものだな、ということが分かってきた。
少なくとも、グローバルマーケットでの需要動向を見る限り、富士重工業 が追い続けてきた 「理想」 の先に、「未来」があるのは間違いないようだ。
私は 「未来」 より 「理想」 という言葉のロマンチックな響きが好きだ。「いいね!」と言ってくれるのは、世界中の 1% の人だけでいい。 | |